兒玉大全
法話を聞く
こちらは西山浄土宗総本山光明寺テレホンセンターの兒玉大全です。
今年ノーベル医学生理学賞に選ばれた大村智さんは山梨の農村で過ごした頃、父に植林を手伝わされたそうです。「これらの樹木は、自分の代には切り出せるようにはならないが、将来お前たちの代になると役に立つ。そして今切り出している材木は、先祖の人々のお蔭なのだ」と。
少年は長じて科学の森に木を植える人になりました。そして地面を這うようにして集めた微生物から、薬の種となる化合物を探し出します。その種から育った木々は大きく枝を広げ、アフリカの大地を潤すことになったのです。
本来、我々日本人は先祖を敬い、良いことを後世に伝えていくという精神がありました。
しかし、現代においてはすべてが個人に重きを置き、たとえ家族であっても自分にそぐわなければ受け入れようとしない人々が増えてきています。
お釈迦様は世の中の人々の貧しい心を耕しました。人々が豊かな心に育ってもらうように、その心に喜びの花を咲かせて、幸せな実を結んでもらうようにと各地を巡礼し心を耕されたのです。その教えは世界中に大きな枝を広げていきました。そこには人々が互いに施しあい、恵みあい、いただきあい、拝みあう世界があったはずです。誰しも幸せで、平和な世界がいいはずです。
その為には、まず私たちが人ではなく人間として今を生きるべきであると考えます。
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