田中隨晋
法話を聞く
歳歳年年人同じからず
和歌山県みなべ町 法傳寺 田中隨晋
令和3年4月前半 光明寺テレホン法話原稿
はい、もしもし こちらは西山浄土宗総本山光明寺テレホンセンターの田中隨晋です。
桜の時期となりました。この時期にいつも思い出すのが「年年歳歳花相似たり 歳歳年年人同じからず」の一文です。
来る年も来る年も、花は変わらぬ姿で咲くが、年ごとに、それを見ている人間は、移り変わります。
昨年は三月当初からの学校の一斉休校に始まり、四月には緊急事態宣言が出され、自粛生活がはじまり、花見を楽しむ事が出来なかった人が多かったのではないでしょうか?
今年も、まだまだ大勢で花見を楽しむ事は難しい状況が続いています。コロナ禍の前では想像も出来なかった、想定外の現実です。
そして、想定外の言葉が飛びかったあの東日本大震災から10年の月日がたちました。
甚大なる被害を受けられた被災地の皆様はいかがお過ごしでしょうか?
先日、被災地の方から、お手紙を頂きました。震災から10年の感謝の言葉が述べられた後「苦しみ、悲しみこそが生きる力であったとしみじみとかみしております」と結ばれていました。
体験から生まれて来る言葉には輝きがあります。
咲き誇る桜を、親しい人と楽しく見上げた時、花の咲いたことも気づかないほど打ちひしがれた時、花を見たいと思っても見ることを制限された時、
歳歳年年人同じからず。状況はいつも同じではありません。
その中で、忘れてはならないことは苦しみ、悲しみを生きる力に変えてくれる感謝の心を忘れないことです。
総本山光明寺も桜の花が咲き始めました。静かな花見を楽しまれてはいかがでしょうか。 お電話ありがとうございました。