田邊隆衎
法話を聞く
こちらは西山浄土宗総本山光明寺テレフォンセンターの田邊隆衎です。
平成27年も もう少しとなりました。みなさまにとっての一年 いい年でありましたか?
さて、人をお見送りする際には、どういうお気持ちで お言葉掛けをされますか?
先日、お説教に伺ったお寺でお見かけしたお話でございます。
お寺の法要が終わり、檀家様がお帰りになられる際に、そのお寺のお子さまが丁寧に「さようなら。ありがとうございました。」とごあいさつしていました。
そんな風景を見て、『ご子息に、いいしつけをされていますね』とご住職にお話しますと、『いやいや、彼女は彼女なりの思いがあるそうですよ…。』
それはなぜかと尋ねました。
『今日お参りに来られたおばあちゃんやおじいちゃんが、もしかしたら明日、寝たきりになったり、会えなくなったりした時に、次のお参りに来られないかもしれないでしょ…。その人に「ありがとう」を言えないと困るから、だから、笑顔でお見送りするんだよ。」と彼女は言ったんです。なぜかと聞いたら、この子を良くしてくれた檀家さまが、お彼岸のお参りに来られた、翌日に亡くなられ、本人もびっくり悲しんでいました。その時ちゃんとありがとうが言えなかったから…。』と言ったんですよ。と…。
私も、人とお会いする時は『一期一会』の気持ちで心掛けていますが、まだ小学校3年生で、帰り際に感謝の気持ちを『さようなら。ありがとうございました。』という言葉に託し、ご挨拶できることに「すごい!」と感じました。
一生に一度の出会いに誠意を尽くすことも大事ですが、また次にお会いできることを願い、今日お出会いしたことに感謝の気持ちを伝えることの大切さを教えていただきました。
まだ幼き年であるものの、肌からしみ込むように 日々の生活の中に阿弥陀様が心に宿っているのだと感心しました。
どうか皆様におかれましても、阿弥陀様のお慈悲を常にいただき、除夜の鐘の音を聞きながら、ご先祖様に感謝し、お念仏をお唱えして 新しい年をお迎えいたしましょう。
お電話いただき、ありがとうございました。