松坂俊典
法話を聞く
こちらは西山浄土宗総本山光明寺テレホンセンターの松坂俊典です。
昨年の流行語大賞で【お・も・て・な・し】という言葉がありました。
調べてみますと、「真心を持って・ことをなす」という語源からきているそうです。
もてなしの意味をわかりやすく伝えてくれる逸話がございます。
戦国時代、豊臣秀吉が鷹狩りの帰り、のどの渇きを覚えて寺に立ち寄り茶を所望しました。寺の者は大きめの茶碗にぬるめのお茶を入れて持ってきました。のどの渇いていた秀吉は一気に飲み干し、もう一杯と頼みました。今度は普通の茶碗にやや熱いお茶を入れてきました。寺の者の心遣いに気づき、それでは試しにと、もう一杯所望したところ、小ぶりの茶碗に熱いお茶を入れて持ってきました。秀吉はその心に深く感動し、その者を召し抱え家来といたしました。後の石田三成だったのです。
おもてなしする側が一方的に心をこめるだけではなく、おもてなしを受ける側も、心に気づき、受け止めなければこの逸話は成立しません。秀吉と三成の、心と心の交流が「おもてなし」の本質ではないでしょうか。
西山浄土宗の御本尊であられます阿弥陀如来さまも、悟りを開かれる前、ある国の国王でいらっしゃいました。しかし、王の地位をお捨てになり、法蔵という菩薩になられました。なぜならば煩悩に縛られ、迷い苦しんでいる人々を救済したかったのです。
仏に成るためにはどうすればいいか?すべての人々が私の元へ来られるようにするにはどうしたらいいか?考えに考えを重ねて四十八の願をお立てになり、その願が成就するよう長い時間をかけて修行をされ、今すでに願は成就されて極楽浄土にて阿弥陀如来となられております。
阿弥陀如来さまは片時も離れず我々を思い続けておられます。その思いを感じ取り、その心を受け止めることが出来れば、「ありがとうございます」という感謝の気持ちになるのではないでしょうか。その感謝の気持ちを言葉で表すと「南無阿弥陀仏」なのです。
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