豊田泰猛
法話を聞く
テレフォン法話
「小さき波紋」
はい、こちらは西山浄土宗総本山光明寺テレホンセンターの豊田泰猛です。
お寺の境内の落ち葉をそのままにしていると、そのままです。でも、掃くという行為を誰か一人行うと、一か所に寄ってきます。その一人の掃くという意志が行いになり、時間をかけ境内全体に影響します。
一人の意志を持った行いは、池に落とした小石の波紋のように、徐々にでも確実に、周りへ伝わります。
あなたは幸せですか。自らも傷つき、家族の死さえも受け入れ、でも頂いたこの命を精一杯輝かせているからこそ、幸せなのだと思います。
「父親の最後をしっかり看取れたよ。」とお話下さる方がおられました。彼は、母親を以前亡くされていたのですが、母親が入院した時期は忙しく、「明日病院に行く」と言っていたその日に母親が亡くなったそうです。何もしてやれなかったその悲しみがあり、「父親の時は精一杯出来るだけのことはしたんだ。自分勝手なのは分かっているが、心が落ち着いておくれたよ。」と、冷静にでも幸せそうにお話をしてくださいました。
我が宗の西山上人は、「励むも悦ばし」「励まざるも悦ばし」とお教え下さっています。それは、私たちの意志や行いに関係なく、全てを認め、お救い下さる阿弥陀様のお慈悲の心です。
彼のご両親は阿弥陀様のお慈悲の光に包まれ、お浄土から手を合わし、感謝のお念仏をお称え下さっていることでしょう。
たった一度しかない人生、誰も代わってくれない人生です。
叶うことは叶うと信じ、小さくとも清よらかな思いを育てましょう。
お電話ありがとうございました。