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吉水剛志

法話を聞く

こちらは西山浄土宗テレホンセンターの吉水剛志と申します。
戦後70年の節目の年にあたる来年。
天皇皇后両陛下が戦没者慰霊のために太平洋戦争の激戦地であるパラオを訪問したいと強く希望を示されていると宮内庁から発表されました。
パラオ。
日本から真南に3千キロ。
ほぼ赤道直下に位置する小さな南国の島国でございます。
パラオは終戦まで約30年間、日本が統治していました。
そして日本軍の拠点となり、終戦の前年にはアメリカ軍の攻撃を受け、パラオの日本軍はほぼ全滅となりました。

当時は多くの日本人が移住し、現地のパラオ人たちに日本の文化や言葉などたくさんの影響を及ぼし、今もなお根強く残っております。

そんなパラオに私は青年海外協力隊の一員として約2年間、現地のパラオ人たちと共同生活をしながら仕事をしてきました。

パラオ生活での思い出の一つにこういうことがございます。
パラオ人の友達とアメリカ人の友達といっしょにパラオでお亡くなりなった戦没者のご供養をしたことです。
パラオではいたるところに戦争の残骸が今もなお生々しく残されております。
零戦、日本軍の基地、アメリカ軍の戦車や飛行機の残骸、そして慰霊塔などをパラオ人とアメリカ人の友達といっしょに巡拝し、戦争と平和についてそれぞれの国の立場から語り合いました。

尊い命をささげた方々の死が無駄にならないためには平和な世界であり続けることが一番重要であると意見が一致したことはパラオ生活での貴重な思い出の一つです。

戦後70年がたとうとしています。
戦争を知らない私たちができることは、戦争を知る方々から正しい事実を引き継ぐことです。
そして全世界が戦争のない平和な世の中になるように強く願い続けることでございます。
戦没者のみなさまが忘れ去られてしまわないように、繰り返し繰り返しお念仏を申してご供養し続けていくことが私たちの使命でございます。
お電話ありがとうございました。