東行逆馬の碑

光明寺の開山は法然上人ですが、建久九年(1198)の創建に力をつくしたのは、『平家物語』や謡曲の『敦盛』で有名な熊谷次郎直実です。直実は荒武者として知られていましたが、法然上人のお弟子になり法力坊蓮生と名を変えました。そして粟生の地に念仏三昧の暮らしをするために念仏三昧院を建てました。これが光明寺の前身です。
蓮生法師は法然上人の教えにしたがって熱心に修行をしましたが、ときには、今の私たちから見ると「やりすぎでは?」と思うこともあったようです。その最も有名なエピソードの一つが「東行逆馬」。蓮生法師は阿弥陀様がいらっしゃる西方をうやまうあまり、関東への布教の旅に出るときも、「西におしりを向けて進むことはできない。」とおっしゃり、馬に逆さに乗って西をおがみながら進んで行ったそうです。かなり無理のある旅だったでしょうが、元荒武者らしい熱心さには頭が下がります。